民法入門
   
   
   
   

 
   


佐藤 哲の初学者のための民法入門レジメ-全体構造2編(動作確認中)


 

 

 

 

 

2 民法の三大原理とその制約
(1) 私的自治の原則と制限


右の図で,もしAの真意を重視すれば,AはABの契約を取り消して自分の家をCから取り戻せるはず。しかしそれでは詐欺を知らない(「善意」)で買ったCが害される。そこで民法は,取引安全を重視してCから家を取り戻すことはできないことにしている(96条3項)

 

 

(2) 所有権絶対の原則と制限
 所有権者は自分の所有物をどう扱っても他人や公権力から干渉を受けない。
 ■自分の所有物を自由にできたほうがその人らしい生き方ができるから。

☆ 権利濫用の禁止1〜宇奈月温泉事件
 Aは山奥に急斜面の土地を所有していたが,YはAのその土地上に引湯管を通していた。この事情を知ったXは,Aからこの土地を購入し,Yに対して所有権に基づき,引湯管の撤去を求めた。Xの請求は認められるか。

@ たしかに所有権者には妨害排除請求権が認められる(自己の所有物は他人から干渉を受けるべきでないから,干渉されればどけといえる(=妨害排除請求権)し,奪われれば返せといえる(=返還請求権))。この権利を行使できればXの請求は認められる。


A しかし,引湯管撤去には膨大な費用がかかること,侵害しているのは傾斜地で価値のない土地のわずかな部分にすぎないこと,Xは事情を知ってあえて購入していることからすると,妨害排除請求権行使は社会的に不当な権利行使といえ,権利濫用の禁止によってXの請求は認められない。

 

☆ 権利濫用の禁止2〜信玄公旗掛け松事件
 所有権絶対の原則からすれば鉄道所有者はレールを敷いた土地をどう使っても良いはずだが,由緒ある松であること,枯死させていることなど相手方の保護を考えれば,鉄道会社は損害賠償責任を負う。

(3) 過失責任主義
 他人に損害を与えても,そこに最低限過失がなければ損害賠償責任を負わないこと。

R■何も落ち度がない人に責任を負わせることはできないから。


例:ブロック塀が大地震で倒壊し,隣家の壁を壊した。
例外・・・・無権代理人の責任,瑕疵担保責任



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