教えてください 投稿者:タロウ  投稿日:12月 3日(水)19時39分53秒

どなたか教えてください。
借入金償還余裕率の活用による還元利回りの求め方
R=Rm×Wm×DSCR
R:還元利回り
Rm:借入金還元利回り
Wm:借入金割合
DSCR:借入金償還余裕率

借入金償還余裕率とは、ある期間の純収益を同期間の借入金元利返済額で除した値。
上記の式では、DSCRが高まるとRも高まってしまいます。
DSCRが高まると、安定性が増して、Rが低下するのではないでしょうか?

DSCRと還元利回り 投稿者:現役鑑定士  投稿日:12月 4日(木)09時29分25秒

 みなさん、こんにちは。現役鑑定士です。
 タロウさんから借入金償還余裕率の活用による還元利回りの質問がありましたので、
ここで回答いたしましょう。タロウさんはすでにご存じかもしれませんが、他のみな
さんのために、そもそも、なぜこの式で還元利回りが求まるのか、から当式を変形し
ていくことで説明します。

 借入金還元利回り×借入金割合×借入金償還余裕率
=借入金年間返済額/借入金× 借入金/不動産価格 × 純収益/借入金年間返済額

 上の式で、借入金年間返済額、借入金が分数の分母・分子に出てくるため、それぞれ
が消去され、単純に、純収益/不動産価格 になります。これはまさに還元利回りです
よね。確かに、タロウさんのおっしゃるとおり、借入金償還余裕率が高まれば、その分、
還元利回りも高まります。安定性が高まるのに、なぜ還元利回りが下がるのでしょう。
ここで混乱してはいけないことがあります。この方式により還元利回りを査定するのは、
不動産投資家というより、投資家に融資する金融機関サイドなのです。(当式の借入金
還元利回りというのは端的にいえば貸出金利、正確には当該金利を基本利率とする年賦
償還率のことです)
 この文脈ででてくる安定性とは、不動産投資家の不動産経営に関する安定性ではなく、
金融機関サイドの安定性なのです。
全体を理解するために誤解をおそれず申し上げれば、金融機関サイドの安定性は還元利
回りの上昇に繋がります。(その分価格が低下し、貸出金額も抑えられます。)
 還元利回り水準を低下させる安定性とは、家賃水準の安定、空室率の低下、当該不動産
の市場競争力等の純粋な賃貸市場の動向に求めるべきであり、いわゆる金融問題とは切り
離して考えるべきでしょう。
 鑑定実務においては、この式で求まった還元利回り水準は、市場で認められている一般
的な水準と乖離する傾向があるので参考程度に試算するにとどまっています。

DSCRと還元利回りA 投稿者:現役鑑定士  投稿日:12月 4日(木)09時47分16秒

 下記の説明の11行目に、「安定性が高まるのに、なぜ還元利回りが下がるので
しょう。」とありますが、お気づきの通り、「なぜ還元利回りが上がるのでしょう」
が正しい表現ですね。

 最近では、収益還元法の精緻化に伴い還元利回り、割引率等についての細かい議論
が多くなっています。03年基準でも収益関係の改定にかんする箇所のボリュームが
大きかったですよね。バブル崩壊後、外資が日本の不動産市場に進出してきたことと
無関係ではなさそうです。

 ただし、収益方式による価格で取引される土壌が日本の不動産市場にどの程度整っ
ているのか、吟味する必要があります。特に、諸外国に比較し極めてゆるやかな土地
利用規制と借家人に有利な借家法制はDCF法適用による価格の信頼性を落としてい
ます。
興味のある方は勉強してみてください。では、またお会いしましょう。

(無題) 投稿者:タロウ  投稿日:12月 4日(木)21時22分24秒

現役鑑定士様、ありがとうございました。
金融機関サイドからみた安定性だったのですね。

還元利回りの別の求め方に割引率との関係から求める方法があります。

R=Y−g

R;還元利回り
Y:割引率
g:純収益の変動率

この式によりますと、割引率Yに純収益の変動率gを考慮したものが還元利回りR
となります。将来の純収益が減少すると予測されて、純収益の変動率gがマイナス
になりますと、リスクが増えますので、還元利回りRは高まります。
逆に、将来の純収益が増加すると予測されて、変動率gがプラスになりますと、リ
スクが低下して安定性が増すので、還元利回りRは低くなります。

このような理解でよろしいのでしょうか?
もしあってるとすれば、この場合の還元利回りRの変動は投資化サイドからみたも
のになるのでしょうか?

純収益変動率 投稿者:現役鑑定士  投稿日:12月 5日(金)11時27分38秒

 タロウさんより重ねてご質問がありましたので、回答させて頂きます。
 純収益変動率とは、端的にいえば賃料上昇期待率であり、この率がプラス
ですと、還元利回り水準が低下、よって当然ですが収益価格は上昇します。
賃料の水準について投資家サイドに上昇期待があるということは、とりもな
おさず、賃貸経営が安定、リスクが低下しているということと繋がっており、
この点で、タロウさんの理解でよろしいと思います。
 実務では、先のDSCRを用いた式よりも、こちらの算式で還元利回りを
査定することが多いですね。ちなみに、昨今の地価公示作業では、Y;5〜
5.5%、g;0.5〜1.0%程度で還元利回りを求めています。


質問 投稿者:あつ  投稿日:12月17日(水)20時40分27秒

今、地価公示を担当している者です。
そこで質問なんですがメモ価格がなぜあるのか納得できません。先に価格があってその価格にあわせるように比準価格が決まるのはおかしいと思うのですが。
あと自建ての総額を建物価格と土地価格に配分する方法(配分法)がよくわかりません。
20年以上経過した建物はだいたい経済価値がないと教えてもらったのですがほんとでしょうか?

 

地価公示について 投稿者:現役鑑定士  投稿日:12月20日(土)09時20分30秒

 地価公示について、あつさんからご質問がありましたので、回答しましょう。
「先に価格があってその価格にあわせるように比準価格が決まるのはおかしいと思う
のですが。」というあつさんの疑問は、ある意味、当然生じてくると思います。そも
そも1月1日時点での価格をスケジュール的に前年内に決定しなければならないわけ
ですから、まぁ構造的な問題といえます。
 現実の実態としては、代表標準地の担当者が、不動産業者へのヒアリングのほか、
賃料水準の変化、金利変動・税制改正等を勘案して当ポイントの変動率を決定し、そ
れを参考に他の評価員が自分の担当ポイントのメモ価格を査定していくことになって
いますね。ですから、個別具体の取引価格の変動状況よりも相場感とかその背後にあ
る価格形成要因の変動等で公示価格が決まっている、というのが実態ですね。
 私自身もこのような査定方法に問題がないとは思いませんが、先述したとおり、ス
ケジュールが決まっていますので、わりきってやるしかないのかな、という気がしま
す。

 配分法について、ですが、総額から建物価格を控除する場合の建物価格査定に関し
ては、いわゆる再調達原価から物理的・機能的・経済的減価額を減じることにより
行います。具体的な数値は、建物の構造・用途・規模によって異なりますね。
 鑑定協会の収益還元法の運用指針(この資料は地価公示関係者しかみることはでき
ません。あつさんはお持ちだと思いますが。)に記載されている数値がある程度参考
になります。

 「20年以上経過した建物はだいたい経済価値がない」ということは、いわゆる
木造家屋についてはあてはまると思います。スクラップ・アンド・ビルドである日本
では中古市場が充分発達していません。融資条件も中古には厳しいものがあり、通常
の居宅については20年が経済的な意味での耐用年数になっていることも多いと思い
ます。

 もうひとつ、配分法

下のコメントの続き 投稿者:現役鑑定士  投稿日:12月20日(土)09時35分15秒

 配分法については、もうひとつ、注意して頂きたいことがあります。新築戸建
住宅の価格には、純粋な土地・建物価格のほかに、不動産業者の利潤が含まれて
いるということです。この利潤を無視して土地価格を査定するとその額が過大に
なってしまいますので、要注意。仮に買い主のアンケートに土地・建物の内訳価
格が記載されていたとしても、それぞれに利潤が含まれている場合には、取引事
作成者の方で修正を加えることも必要か、と思います。まぁ分科会でその辺の査
定方法についての意思統一がなされている場合もありますが。

ありがとうございます。 投稿者:あつ  投稿日:12月20日(土)13時23分41秒

現役鑑定士様、お忙しい中丁寧な回答ありがとうございました。
配分法で不動産業者の利潤を求める方法としては業者に直接聞くというのでもよいのでしょうか?
それともほかに良い方法があるのですか?
あと標準化補正や地域要因の比較を行うときには県ごとで採用する要因や格差率が異なるのでしょうか?
ほんとに基本的な質問ばかりでもうしわけありません・・・
今年の11月から入社したのですが先生が何も教えてくれず、入社1年の先輩とがんばっています。
先輩も先生からはほとんど教わってないみたいでほかの先生方に教えてもらってたみたいです。
あと、なにか基本的なことをマスターするにあたって参考となる本があれば是非教えてください。
よろしくおねがいします。

 

続・地価公示について 投稿者:現役鑑定士  投稿日:12月22日(月)09時20分28秒

 みなさん、こんにちは、現役鑑定士です。
 あつさんから重ねてご質問があれましたので、回答しましょう。
 利潤を業者に直接聞く、という点ですが、業者サイドもなかなか教えて
くれないことが多いと思います。一般的には、土地・建物総額の10%〜
15%程度を業者利潤とみなし、その旨を取引事例カードに記入していま
す。
 例えば、業者利潤を含んでいると判断される新築戸建住宅において、総
額が3500万円だったとしましょう。土地・建物価格比が6:4の場合、
土地2100万円、建物1400万円となるところ、業者利潤を500万
円と査定し、土地1800万円、建物1200万円と配分します。
このようにすることで、純粋な建付地価格が把握されることになります。

 標準化補正、地域格差率は、当然、その地域性に基づく相対的判断なの
で各分科会で異なります。ただ、住宅地における方位の格差率については
基本的にほぼ共通した格差率を採用していると思います。しかし、方位に
ついて必ずしも南方接道が北方より優っているとはいえません。例えば、
共同住宅が標準的使用である場合、日影規制の関係で、南よりもむしろ北
接道の方が建物床面積を大きくとれるので、北方位が優位になります。現
状の地価公示では、ここまで精査しているところは少ないと思います。地
価公示精度をよりよくしていくための今後の検討課題といえます。

 


地価公示について 投稿者:あつ  投稿日:12月24日(水)09時03分39秒

現役鑑定士様、ありがとうございました。
たびたび質問します。
地価公示において収益還元法を適用する場合、賃貸事例が必要となりますが、この賃貸事例を集めるのには大変苦労しています。先日もある業者に協力願いを持って行きましたところあっさりと断られてしましました。
現役鑑定士様はどのようにして賃貸事例を収集されていますか?
あと実務における新収益還元法では総費用に減価償却費を含めないようですがこれは基準と異なると思います。なぜですか?

 

 

賃貸事例/収益還元法 投稿者:現役鑑定士  投稿日:12月24日(水)10時56分29秒

 みなさん、こんにちは。現役鑑定士です。あつさんのご質問に回答します。
 賃貸事例は、レインズ、アットホームなどの不動産情報機関より収集しております。
 個々の業者からのヒアリングは、個人的なつきあいがないと難しいですね。
 
 収益還元法の減価償却費計上についてご説明します。
 そもそも減価償却費については会計処理(不動産所得に関わる税金計算)上の問題で
あって、不動産賃貸経営のキャッシュフローとは無関係です。したがって、地価公示
の新手法に限らず、一般の鑑定評価においても減価償却費を計上しないことが、いま
や多数派です。ただし、建物は土地と異なって、いずれ朽廃状態となり、再築しなけ
れば収益発生が永続しません。よって、建物の期待利回りのなかに、再築費用の積立
金分として償却率(償還基金率)を含ませるわけです。
 要するに、建物再築費用を総費用項目の減価償却費としてではなく、建物期待利回
りの償却率として勘案することになります。 

減価償却費について 投稿者:タロウ  投稿日:12月26日(金)01時00分34秒

減価償却費については、私も疑問に思ってました。
参考書には総費用に含まれないと書かれてますが、基準では償却前の純収益
を求める場合を除いて計上すると書かれており、還元利回りの中で勘案する
とも書かれていません。参考書が間違ってるのでは?と思ってました。

(無題) 投稿者:あつ  投稿日:12月26日(金)09時56分31秒

現役鑑定士様、ありがとうございました。
賃貸事例は新規に締結したものでなければならないという先生もいれば、ネットや賃貸雑誌で募集している案件でもよいという先生もいます。どちらの方法がよろしいのでしょうか?
あと収益還元法で元利逓増償還率を用いていますが、この不況の中純収益が一定の率で上がるという想定はおかしいと思うのですがこれはなぜでしょうか?

 

あつさんの質問に対する回答 投稿者:現役鑑定士  投稿日:12月26日(金)11時43分26秒

 みなさん、こんにちは、現役鑑定士です。
 下記のあつさんのご質問に回答します。

 まず、賃貸事例の件ですが、成約事例しか原則採用できないはずですから、
新規に締結したものでなければなりません。賃貸事例での時点修正は、当然、
成約日と価格時点(04年1月1日)との間の修正ですから、そもそも成約
に至っていない募集ベースを試算上採用できませんよね。ネットなどで募集
されているものについては業者等にヒアリングして、成約日と実際の成約家
賃を確定しない限り採用不可です。

純収益の上昇については、あつさんのいうとおり、私自身もおかしいと思い
ます。取引事例比較法の時点修正率はマイナスなのに、土地残余法の純収益
変動率がプラスなのは、ベクトルの向きが逆であり、整合性がありません。
一応、純収益については、ここ数年は下落基調にあるが、将来的にはプラス
に転じ、全体をならすとプラス0.5%前後になる、というのが統一的見解で
すが、無理があるような気がします。

 そもそも更地価格を土地残余法で試算すること自体が理論的にかなりあや
しいと、個人的には考えています。開発法やDCF法のように、時間的概念
を取り入れ、建物建築費、家賃収入等の収入・費用の発生時点ごとに異なる
割引率で現在価値に割り戻す方法をもちいるか、土地・想定建物込みの収益
価格から建物建築費を一括して控除する方法を採用すべきではないでしょうか。

 茂木さんとのインタビューのなかで申し上げたとおり、基準に書いてあるか
ら、とか実務の慣行がこうだから、ではなく、自分自身で論理的に思考し、最
適解を求める姿勢が大切であると思います。

 

 

こんばんは。 投稿者:タロウ  投稿日:12月31日(水)01時14分14秒

現役鑑定士様は、自分なりの最適解を求める姿勢が大事であるとおっしゃいました。
あつさんとの実務的なお話しの中でのご意見だと思いますが、二次試験の受験生レベ
ルでは、基準の通りに答案を書くしかないと思うのです。
したがいまして、減価償却については総費用に計上するという理解で当面はいきたい
と思います。

鑑定基準を読むと、なんで?というところが後から後からでてきます。
たとえば、「土地の再調達原価は、その素材となる土地の標準的な取得原価に・・・・
・・・とを加算して求めるものとする。」とありまして、その後「・・・社会的、経済
的環境の変化が価格水準に影響を与えていると認められている場合には、・・・増加額
を熟成度として加算することができる。」とあります。
土地の再調達原価は、その素材となる土地の標準的な取得原価を価格時点において再調
達することを想定した場合に必要とされる適正な原価の総額のはずです。
それならば、熟成度が認められる価格時点の土地の素材価格には、すでに熟成度が加算
されているのでは?と思うのです。
土地の素材価格は、実際の取得価額を標準としているなら理解できるのですが・・・。

 

 

 

再調達原価その他 投稿者:現役鑑定士  投稿日: 1月 5日(月)11時37分48秒

 みなさん、明けましておめでとうございます。何人かの方が再調達原価について
考えておられるようですので、ここでコメントしておきます。

 土地の標準的な取得原価とは、端的に言えば宅地見込地としての価格形成要因を
前提とした価格水準です。つまり、現況、山林や雑種地の土地ですね。戸建分譲を
前提にすれば、このような土地を造成(道路施設・上下水道整備などを含む)、区画
割りを行い、宅地(住宅地)へと転換していきます。そのさい、通常、インフラ整備
に伴い、取得価格+造成費+一般管理費以上に価格水準が上昇していきます。逆に
この開発メリットがなければ、当該地を宅地へと転換させる経済的合理性が見いだ
せないことになります。当該開発メリット・価格水準の上昇が基準にいうところの
熟成度加算といわれているものです。
 基準には、宅地造成直後と価格時点との時間的経過に伴って熟成度が発生してい
く、言葉を換えれば、時間をかけて価値上昇が認められるというニュアンスで説明
されていますが、しばしば鑑定評価の対象となる大規模開発分譲では、宅地造成終
了=分譲という段階で、熟成度がエンドユーザーに転嫁され価格に織り込まれるこ
とに留意すべきでしょう。

 熟成度加算を考慮するか否かについては、価格時点いかんもさることながら、む
しろ依頼目的や条件次第でしょう。例えば、開発後・転換後の分譲価格を決定する
さいには、熟成度は考慮しなければなりませんし、依頼者が不動産開発業者で会計
上の資産評価目的の場合には考慮しないことも考えられます。ケースバイケースで
すね。
 そして、熟成度加算を考慮する場合において、それを再調達原価の構成要素とす
るか、別項目を建ててそのなかで査定するかは、二次的な問題となります。(私の
場合、別項目にします。つまり、評価主体の判断に大きく左右される熟成度加算に
については純粋な再調達原価には含めないこととします。その方が説明責任の明確
化の観点からより適切であると考えるからです。)

 減価償却の総費用計上と利回りとの関係については、また別途、説明することと
します。

 最後になりましたが、04年の皆様のご多幸を祈念いたします。本年も宜しくお
願い申し上げます。 

(無題) 投稿者:あつ  投稿日: 1月 8日(木)15時07分26秒

あけましておめでとうございます。
早速ですが、現役鑑定士様へ質問があります。
先日、地価公示の鑑定評価書の交換があったのですが、クレームがきました。
取引事例についてなんですが、標準化補正後の価格を路線価にぐらいまで落とせとのことでした。
そして標準化補正でもできないときは、事情補正がなくても事情補正で調整しろって言われました。
そもそも売り急ぎや買い進みがないのに事情補正をいれるなんておかしいと思うのですが
どうなんですか?買主の事情ではなくただ鑑定士の事情のように思えてなりません。
それに標準化補正後の価格を路線価まで下げるってのも納得がいかないので教えてください。

 

 

あつさんへ 投稿者:現役鑑定士  投稿日: 1月 9日(金)09時12分13秒

 あつさんからのご質問に回答させて頂きます。
 事情補正というものは、あつさんご存じのとおり、売り急ぎ・買い進み等の特殊な事情
が取引に介在している場合に、当該取引価格を正常な事情のもと成立したであろう価格に
補正することです。しかし考えてみると、マンション・戸建分譲などを除いて、不動産の
取引価格は売り主・買い主の取引動機、背景、資金力などの不動産の経済価値とは直接関
連性のない事情に左右されますから、いってみれば、ほとんどの不動産取引に個別事情と
いうものはあるわけです。問題は、事情補正すべきほど、取引事情の影響を受けて価格が
成約したか否かであって、それは取引当事者本人への聴取のほか、一般水準の動向等に鑑
みて、最終的には事例作成者が決定することです。比準しやすさから、安易に事情補正す
べきではないでしょう。

 標準化補正後の価格を路線価まで下げる、ということは、それだけ当該地域の不動産市
況が悪化している、ということを表します。公示価格と路線価との乖離は20%ですから、
価格変動率が年間▲20%であれば、前年路線価水準が本年公示価格水準ということにな
りますね。ただ、そこまで下落している地域は、現在それほどありません。
 標準化補正についても事例作成者が自己責任のもと行うべきです。